第4次産業革命(Industry 4.0) について

第4次産業革命(Industry 4.0)がドイツではどのように理解され取り組まれているのかを把握するため、以下の官民それぞれの資料のサマリーからキーワードを抜粋してみた。

  1. ドイツ連邦経済・エネルギー省及び連邦教育・研究省によるIndustry4.0の定義とその可能性
  2. ドイツ機械工業連盟(VDMA)のIndustry4.0プラットフォーム
  3. PWC(プライスウォーターハウスクーパース)のIndustry4.0に関する企業の現状調査

ドイツ連邦経済・エネルギー省、連邦教育・研究省によるIndustry4.0の定義と例

https://www.plattform-i40.de/PI40/Navigation/DE/Industrie40/WasIndustrie40/was-ist-industrie-40.html

インダストリー4.0とは、産業界において機械と生産工程をITによってインテリジェントにネット化することである。インテリジェントにネット化する可能性として挙げられるのが:

  1. フレキシブルな生産 : 製品の生産過程に関与する企業がデジタルにネット化されていくことによって生産過程におけるコーディネートが向上され、機械設備への負担の対処改善となる。
  2. コンバーティブルな生産設備 : 生産工程がモジュール式になり、迅速に生産ラインを対応させることができ、それによって生産性向上と、個別化した製品の小単位生産が可能になる。
  3. カスタマー重視のソリューション : 消費者と生産者の距離が縮まり、消費者は独自のデザインやフォームを生産工程に取り入れてもらえ、生産者は搬入済みの製品にかかわる消費者データを入手することができる。こうしたデータによってさらに商品改善や新サービス提供が可能になる。
  4. 最適な流通システム : アルゴリズムによって最適な流通経路が明確になり、機械設備は自動的に材料の不足を補えるなど、ネット化によって物資の移動が効率化される。
  5. データ活用 : 生産工程と製品状況がデータによって評価され、データ分析から生産効率の向上が図れる。さらに重要なのが、こうしたデータ分析が新しいビジネスモデルとサービスの基盤となっていく。
  6. リソース節約型サイクル : データによって製品のライフサイクル全般が管理できる。デザインの段階ですでにどういった形での材料の再利用が可能かを図ることができる。

2. ドイツ機械工業連盟(VDMA)のIndustry4.0 ガイド

https://www.plattform-i40.de/PI40/Navigation/DE/Industrie40/Leitbild/leitbild.html

企業はどういった観点からIndustry4.0を捉えて実施していけば良いかという点から、ドイツ機械工業連盟VDMAは2030年を目標にしたガイダンスを出し、主体性・相互運用性・持続性を3本柱にしてモデル化している。

主体性:技術開発・安全性・デジタルインフラに関する自由な意思決定

相互運用性:規制・標準化・分権化・AIの点でのオープンで相互的なシステム導入

持続性:労働水準と教育の向上・環境保護とサイクル型経済・社会活動関与

Industrie 4.0 プラットフォーム, VDMA

3.PWC(プライスウォーターハウスクーパース)のIndustry4.0に関する企業の現状調査

https://www.strategyand.pwc.com/media/file/Global-Digital-Operations-Study_Digital-Champions.pdf

プライスウォーターハウスクーパース(pwc)が2018年に26か国の1,155社を対象に行った企業調査(Global Digital Operations Study 2018、How industry leaders build integrated operations ecosystems to deliver end-to-end customer solutions)では、調査対象企業のデジタル化の進捗度合いによって初心者・フォロワー・イノベーター・チャンピオンの4つに分類し、世界レベルでのIndustry4.0の浸透状況を分析している。

  1. 10%の調査対象企業がチャンピオン(デジタル化が最も進んでいる企業、特に自動車産業やエレクトロニクス産業)、2/3はまだほとんどデジタル化が進んでいない。
  2. アジア・パシフィック地域では19%がチャンピオンだが、アメリカ大陸では11%、ヨーロッパ中東アフリカ地域総合では5%。
  3. デジタルチャンピオンは、カスタマーソリューションを経済システムに融合させて付加価値を生み出している。
  4. デジタルチャンピオンは、オペレーション・技術・人材をすべてその経済システムに取り入れてカスタマーに競争力の高いEnd-to-endソリューションを提供している。
  5. デジタルチャンピオンは、End-to-endバリューチェーンの中での接続とコラボレーション実現化のために最新技術を導入している
  6. AIは今後経営上の意思決定の質を革命的に上げていく
  7. デジタル化によって、飽和状態の市場でも生産性を上げて最終消費者に近づいたカスタマイズ生産を進めていく。
  8. 適正のある人材がデジタル化の中心的役割を果たす。

(文責)吉岡佐知子